あるモルモットによるアグネスタキオンストーリーの無粋な感想

こんにちは。pilkulです。怪文書です。巷のSSのような怪文書の方ではないです。


ウマ娘 プリティーダービーというゲームにおいて、「アグネスタキオンのURAシナリオの出来が素晴らしい」ということは、全プレイヤーの250%ほどが把握しているものと思われるので、いまさらこのような解説じみた怪文書を残す必要はないと思うのですが、早めにこれを書いておくことで、いつか実装されるであろうマンハッタンカフェのストーリーへの期待を落ち着かせることができるのではないかと考えております。
すなわち、大幅なネタバレ注意というところでお願いします。
おや、まだストーリーを見ていない? それはよくない、さあ座って座って。ウマ娘を起動して。

(なおそんな私も、某隠しイベント分岐は怖くて見ていません。一体なんですか、あの条件)





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(1)

アグネスタキオン。

彼女のURAシナリオは、開幕からVR空間に入れられウマ娘とともに走らされるという、とんでもないところからスタートする。突飛である。まず、どこを目標に据えるか、という会話がほとんどない。他の子と比べても、「各イベントの突拍子もなさ」「レース選択をほぼトレーナーに任せる」「出走するかどうかは後で決めさせてほしいと保留する」「多弁ながらも、特定のことに関しては語らない」といったあたりは異質である。

勿論、それらすべてが後程回収されるわけであるが。

メイクデビュー、弥生賞、皐月賞と出場するのは史実の競走馬と同じ。なお皐月賞勝利時は史実に基づいた専用実況がある。
その後、日本ダービーを経由し、会長の発案する月桂杯(作中文章のみで登場するレース)への出場認否により、ストーリーが動く。
突然出走を選んだかと思うと、トレーナーとの会話の後にキャンセルするアグネスタキオン。

なぜ、彼女は研究を進めているのか。
なぜ、レースに出ることをすぐ決めないのか。
なぜ、それらの理由を話さなかったのか。
なぜ、彼女はそれでも歩みを止めなかったのか。

それらの理由が判明するのがストーリー中盤。
その章タイトルは、「Report『告白』」。

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(2)

その章で、回想シーンとともにアグネスタキオンとトレーナーの出会いが語られる。
ただ、その量は少ない。

実際の出会いのシーンは、「各キャラストーリー」のところにあるアグネスタキオン編1~4にて読まなければ分からないのである。

なぜ彼女がこのトレーナーを選んだのか。
なぜ研究に固執しているのか。
なぜ彼女はトレーナーの目を見つめているのか。
それらはキャラストーリーを読むことで理解することができる。




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(3)

ところで、史実である競走馬としてのアグネスタキオンの話であるが、JRA CMで「その馬は、わずか4度の戦いで神話になった」と称される歴史を持っている(本項では詳細は省く)00年阪神芝2000m新馬戦、ラジオたんぱ杯3歳ステークス(現ホープフルステークス)、01年弥生賞、皐月賞において驚異の成績を見せたアグネスタキオン。それらのレースには、後に名声をとどろかせる同時期馬であるマンハッタンカフェ、クロフネ、ジャングルポケットなどが並んでいたため、そのまま戦線を勝ち続ければ、稀代の馬となる可能性もあった。例えばその弥生賞で4位に沈んだマンハッタンカフェは、その後休養を経て、菊花賞・有馬記念・天皇賞(春)という3~4歳長距離GI三勝という史上2頭しかいない素晴らしい成績を上げることとなる。
期待高まる競走馬アグネスタキオンは、その後悲しいことに屈腱炎を発症し引退となる。その姿は、惜しいという言葉では足りなさすぎる。


ウマ娘というゲームは、各馬のifストーリーといった視点でも読むことができる。
なぜアグネスタキオンのストーリーにマンハッタンカフェが出てくるのか。
なぜマンハッタンカフェや他のウマ娘に「プランB」という姿を見出したのか。
それらは史実を調べることで、思いを馳せることができる。

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すなわち、どういうことか。
上で挙げた、
(1)アグネスタキオンのURAシナリオ
(2)各キャラストーリーのアグネスタキオン1~7
(3)史実としてのアグネスタキオン
を知って初めて、「それぞれの欠けた情報が補完される」という構造になっているのである。
どこまでやるんだ脚本陣、と思った瞬間である。

(2)だけ読むと、アグネスタキオンが無秩序に見えるかもしれない。(1)だけ読むと、アグネスタキオンが狂気に見えるかもしれない。
しかしながら、彼女は決して、無秩序でも狂気でもない。
彼女を言い表すならば――その言葉は、グッドエンド時にトレーナーの口から、不意にこぼれだす。

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感想としては、ものすごく精緻な物語だ、という一つに尽きる。

そして、前述した通り、ウマ娘はifストーリーとしても読むことができる。
ハッピーエンドとしての、後半のストーリー。
プレイヤーは、いくつも選択できる。URAファイナルで優勝することも、全勝を目指すことも、三冠を目指すこともできる。




そしてその一方で、マンハッタンカフェにとっても、ウマ娘上ではifストーリーが展開されることとなる。
なにせそこには、アグネスタキオンがいる。
皐月賞後も走り続ける、その姿がある。
有馬記念で、マンハッタンカフェの前に立ちふさがるアグネスタキオン。
その姿はタキオンシナリオで見ることができるのだから、また見ていない人は見てほしい。

マンハッタンカフェ。
まだ育成ウマ娘としては実装されていない子だが、アグネスタキオンが存在するそのifにおいて、改めてどんな走りを見せてくれるのか。

渇望するほどに、楽しみという他ない。

そして同じように、楽しみにしているモルモットたちが多くいるのだろうと思うと、少しばかり嬉しい。そう思っている。








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